研究概要 |
様々な濃度、温度、pH条件でメルカプトカルボン酸水溶液とMg-Al系層状複水酸化物を反応させ、最適反応条件を検討した結果、いずれの化合物も60℃、24hではほぼ定量的に反応が進行することがわかった。 固体^<13>CNMRメルカプト基の隣の炭素が大きく高磁場シフトした。また、Ramanスペクトルによるとυ(S-H)が消失し、新たにυ(S-S)のバンドが現れたことから、いずれの化合物でもメルカプト基の酸化を伴うインターカレーション起こっていることが明らかとなった。また、層間では、酸化された化合物の両末端のカルボン酸が、上下の水酸化物層を架橋する形で配列していることが明らかとなった。 メルカプト基の酸化は、層間の塩基性環境下で起こっていることを示している。メルカプト基の酸化反応は、水溶液中では起こらないことが知られており、狭い層問でこの触媒反応が初めて可能となったことがわかった。 LDH層問のジスルフィド結合は,Hg^<2+>とAg^+に対して選択的な吸着を示し、その特性は層間のジスルフィド化合物により、大きく変化した。特に、Hg^<2+>に対して高い吸着能を示し、1時間以内にほぼ定量的に吸着できることがわかった。また、Ag^+に対して多少時間がかかるが、Hg^<2+>と同等の吸着能を示すことがわかった。その吸着サイトは、-S-S-で、金属イオンと1:1の結合をしている。このことは、固体^<13>CNMRスペクトルおよびラマンスペクトルからも確認できた。 また、各種メルカプトカルボン酸についてその吸着能を比較すると、必ずしもS-S-サイトの数に比例せず、このような変化が、LDH層間のジスルフィド結合周囲の空隙の分布度合いによると考えられ、LDH層間が選択的反応場として利用できる可能性を示唆している。
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