研究概要 |
平成16年度は、浮遊帯域溶融法(FZ法)による高品質なZrB2単結晶の育成法を探るため、4族から6族の二ホウ化物単結晶の品質を比較することで、3000℃を超える育成温度域における結晶性を決める要因について調べた。 二ホウ化物単結晶のエッチピット密度については、育成温度と良い相関を示し、育成温度が低いほどエッチピット密度が低いことが判明した。他の高融点化合物である遷移金属炭化物においても同様の関係が得られた。従って,エッチピット密度を低下させるには、育成温度を低く制御することが有効である。融点3200℃のZrB_2単結晶の場合、育成温度を500℃低下させると、エッチピット密度が5x10^6/cm^2から10^6/cm^2以下に低下するものと予測された。 二ホウ化物結晶における亜粒界とクラックの発生に関しては、4族のZrB_2が最も良質で、亜粒界を含まない単結晶が得られる。5族では多数のクラックと亜粒界が発生した。6族では5族ほどではないがクラックや亜粒界が発生した。これら結晶性の相関と、熱膨張係数の異方性が良く一致した。すなわち、5族6族の二ホウ化物では4族より大きな熱膨張の異方性を示し、また、同族の中では金属元素が重くなるほど小さな異方性を示した。このため,ZrB_2とHfB_2が最も小さな熱膨張の異方性を示し、良質な単結晶が育成されることが判明した。 従って、今後のZrB_2単結晶の良質化には、育成温度を下げるための融剤の探索が有効である。
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