イオン点間分子量が3100で対アニオンがCF_3SO_3^-のジメチルアンモニウム基を有するポリ(オキシテトラメチレン)アイオネンエラストマー(DPI)に、(CF_3SO_2)_2NLiをドープしてイオン伝導特性を評価した結果、室温からのheating過程とcooling過程の導電率には大きな違いは認められず、10〜50℃では[Li]/[-O-]=0.1の試料が最も高い導電率を示し、30℃で8.5×10^<-6> S/cm、80℃で9.7×10^<-5> S/cmのイオン伝導性を示した。イオン伝導はWLF式によってほぼ表すことができ、DPIマトリックス中での室温以上のイオン移動は高分子セグメントのモビリティに依存していることが判った。DPIのカチオン輸率については、(CF_3SO_2)_2NLiを[Li]/[-O-]=0.1の濃度でドープした試料で0.50と決定でき、ポリ(オキシエチレン)/(CF_3SO_2)_2NLi系より高いことが判った。DPIは、(CF_3SO_2)_2NLiをドープしていない場合100%伸長時における応力が0.2MPaで、破断伸びが530%の、いわゆる架橋前の合成ゴム(生ゴム)に類似した引張物性を示す材料であった。塩をドープすると試料はさらに柔らかい物質となったが、いずれの試料もフィルム試料としてハンドリングできる材料であった。また、ポリエチレングリコールとリチウムクロロボラサイトを複合化して作製した有機/無機固体電解質は、30℃で1.6 x 10^<-6>S/cm、80℃で2.0 x 10^<-5>S/cmの導電率を示す材料であった。さらに、この系への(CF_3SO_2)_2NLiの添加は導電率を上昇させた。高分子量ポリ(オキシエチレン)に過塩素酸リチウムをドープした系で延伸により導電率が上昇することも明らかとなり、延伸下での構造変化とイオン伝導性についても検討を加えた。
|