研究課題
低温でYBCO薄膜の作成をイオンビームスパッタ(IBS)法とPLD法で行った。YBCO薄膜の磁場変調マイクロ波吸収を測定した。LBMO薄膜とLSMO薄膜を作成し、LBMO/YBCO積層膜を作成した。[1]MgOとLAO基板表面に酸素プラズマを照射し、その上にIBS法用いて600℃でYBCO薄膜を作成した。MgO基板では、プラズマの照射時間と強度を増大して行くと、基板表面粗さが増大し、それに伴ってc配向成長からa配向成長に変化した。これによってa/c配向成長のメカニズムとして<表面マイグレーション>が重要であることがわかり、これを完全に制御できることがわかった。PLD法で表面平滑で高品質のc配向YBCO薄膜を成長した。転移温度は非常に高く、86Kであった。[2]PLDで作成したa配向YBCO薄膜のマイクロ波吸収(MA)を調べた。低磁場(H)では、H//c軸に磁場を印加するより、H//aに磁場印加する方がMAが小さいので、a配向膜はLBMO/YBCO積層可変マイクロ波フィルターに有利であることがわかった。磁場の掃引速度の増大に対して、MA強度が増大し、それはH//aよりもH//cの方が大きいので、磁束の粘性による磁束の侵入遅れが原因であることを明らかにした。高磁場では掃引速度の増大に対して、MA強度が減少することを見出し、磁束運動によって誘起される磁束融解を提案した。[3]PLDで作成したc配向YBCO薄膜のMAはa配向膜に比べて大きいことがわかった。MAは変調磁場周波数に大きく依存し、1kHzぐらいでMA信号が最も大きく、磁場の増大に対してその強度が減衰しにくいことが明らかとなった。直流磁場の掃引速度の増大に対して、MA強度が減少することがわかり、これはa配向膜の結果と逆になっている。今回のc配向膜では粒界磁束の運動が支配的な影響を及ぼしていると思われる。[4]LBMO単層膜とLSMO単層膜を作成し、作成条件と結晶性や表面モルフォロジーの関連性を調べた。来年度に実験を追加して、詳しい結果を報告する。[5]IBSによるa/c配向YBCO薄膜と、PLDによるc配向YBCO薄膜の上にLBMO膜やLSMO膜を積層した。その詳細は来年度に報告する。
すべて 2004
すべて 雑誌論文 (11件)
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人工結晶討論会論文集 (in press)