研究概要 |
1.有機薄膜太陽電池の内部電場分布の電極依存性の研究 フタロシアニンショットキー接合型,及びフタロシアニン/ペリレンヘテロ接合型太陽電池において,フタロシアニン側の電極の種類を変えた場合に内部電場分布がどのように変化するかを調べた。用いた電極はITO,Au,Ag,Al,Inの4種類である。Au,Agではフタロシアニン膜内の電場が順バイアス下で消失した。一方ITO,Al,Inではこのような消失は起こらなかった。Au,Agの場合の内部電場の消失は,これら電極とフタロシアニンとの界面でバイアス電圧が消費されるのが原因であることをつきとめた。 2.内部電場の制御手法の研究 電極とフタロシアニンとの界面で起こる上述の異常を制御できれば内部電場の制御が可能となり,ひいては太陽電池のエネルギー変換効率を向上させることにもつながる。そこで電極/フタロシアニン界面に非常に薄い他の有機層を挿み,内部電場のコントロールを試みた。用いた有機層はC60,bathocuproine(BCP),PEDOT-PSS,及びいろいろな種類のフタロシアニンである。特にC60とBCPを用いた場合に,界面での異常が緩和され,フタロシアニン膜中に有限の電場が順バイアス下でも存在することをつきとめた。 3.空乏層の観測 電場変調スペクトル法により空乏層の検出を試みた。電場変調スペクトル法によって測定した内部電場は,逆バイアス領域で通常の空乏層の理論に従うことから,空乏層の存在を確認することができた。
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