研究概要 |
今年度の研究は「種々の不純物イオンを注入し形成される欠陥層の再結晶化速度の導出」を行った。 具体的な成果は以下の通りである。 1.購入した4H-SiC(112-0)基板に、不純物濃度が1x10^<20>,5x10^<20>および1x10^<21>/cm^3であり、欠陥層の厚さが約200nmなるように、リンおよびアルミニウムを注入した。 2.リン不純物濃度が5x10^<20>/cm^3であるイオン注入試料について欠陥層の再結晶化速度の熱処理度依存性を700から800度の温度範囲で求めた。ここで求めた再結晶化速度の活性化エネルギーは、以前に報告した6H-SiCの場合と同様に、3.4eVであった。しかし、再結晶化速度は4H-SiCにアルゴンをイオン注入した場合に比べて約4倍大きく、欠陥層にある不純物がリンであることに起因すると考えられる。また、再結晶化速度のリン不純物濃度依存性は、リン不純物濃度が1x10^<20>から1x10^<21>/cm^3の範囲では明確でない。 3.アルミニムをイオン注入した4H-SiC(112-0)では、リンイオン注入試料と同様に、アルゴンイオン注入によって形成した欠陥層と比べて、再結晶化速度は高速であり、その活性化エネルギーも3.4eVであった。
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