1.液晶分子LB膜の分子配向の評価 本研究経費を使って改良したLB膜作製装置を使って、液晶分子の表面密度と無水合成石英基板及びフッ化カルシウム基板の引上げ方向を制御した。液晶分子LB膜を作製して実験試料とした。液晶分子間及び液晶分子・配向膜間の微視的な局所場効果の寄与を調べるために基本光偏光角の関数としてSH光強度の試料回転角依存性を測定した。ラビングしたポリスチレン配向膜表面の分子配向の異方性とその上に吸着した液晶分子LB膜の分子配向の異方性をLB膜堆積方向と、液晶分子LB膜内の液晶分子間及び液晶分子・配向膜表面間の微視的な局所場効果を考慮して解析した。ラビング方向に対して平行に引上げた液晶分子LB膜と、垂直に引上げた液晶分子LB膜では、液晶分子の配向方向が変化していることが分かった。表面密度3×10^<14>molecule/cm^2の液晶分子LB膜をラビング方向に対して平行に引上げたものと垂直に引上げたものをそれぞれ作製した。ラビング方向に対して平行に引上げた液晶分子LB膜は、ラビング方向に対して垂直に配向しており、ラビング方向に対して垂直に引上げた液晶分子LB膜では、ラビング方向に対して平行に配向していることが分かった。このことから、液晶分子LB膜を作製する際に引上げ方向を制御することで、液晶分子LB膜の分子配向の制御が可能となることが示唆された。 2.液晶セルの分子配向の評価 1.で作製した液晶分子LB膜を使って液晶セルを作製し、偏光顕微鏡観察を行い、偏光赤外吸収スペクトルも測定して液晶セルの赤外2色比を決定した。液晶分子LB膜を吸着させないで直接液晶分子を注入した液晶セルも作製して比較した。その結果、液晶分子LB膜で見られた分子配向の強い異方性は液晶バルクで緩和されているように見受けられ、液晶セルとしての配向は、ほぼ同等であると結論した。
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