研究課題/領域番号 |
15560020
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
薄膜・表面界面物性
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
碇 哲雄 宮崎大学, 工学部, 教授 (70113214)
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研究分担者 |
福山 敦彦 宮崎大学, 工学部, 助教授 (10264368)
横山 宏有 宮崎大学, 工学部, 助手 (50315355)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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キーワード | 半導体量子井戸構造 / 非輻射電子遷移 / 光学吸収スペクトル / 二次元励起子 / 赤外発光ダイオード材料 / 半導体レーザー |
研究概要 |
本研究においては、我々が開発した光熱変換分光法(PPTS)を用いて3〜10nmの範囲での膜厚の異なるGaInNAs/GaAs超薄膜単一量子井戸(SQW)の非輻射遷移過程を測定し、光起電力効果にも配慮しながら光吸収スペクトルを高い感度で測定することに成功した。そしてこのPPTスペクトルを詳細に解析した結果、スペクトルは量子井戸の特徴である各離散準位の二次元状態密度を反映した階段状の形となっており、同時に二次元励起子の寄与を明確に分離することが出来た。この様に、室温においてさえも励起子の効果を分離できるほど明確な光吸収スペクトルが測定されたのは始めてである。更に、この膜厚減少に伴う励起子結合エネルギーの増加並びに、特に第一離散化準位ピークの膜厚依存性について内挿法などにより見積もられるバンドパラメータを用いて数値的解析を行った結果、膜厚減少に伴うブルーシフトの定量的説明には、無限量子井戸理論に対して、井戸の有限深さ及びその分割比(伝導帯と荷電子帯との)や井戸内外の有効質量の違いなど、幾つかの補正を行うことで説明できることが分かった。以上の結果から量子井戸構造を形成するような極めて薄いサンプルに対しても、PPTSが非常に有効な光学的評価法であることが明確になった。更に、本研究と同時に進行してきた、(1)透明導電性薄膜ZnOの酸素欠陥に関して得られた知見や、(2)薄膜太陽電池材料CuInSe2の陽子線照射効果を明確に分離できたことなど考慮して、このPPTS実験手法を用いる事により、他の超薄膜半導体構造や量子ドットの光学的性質解明に関するより詳細な研究が可能となり、従来にない新しい観点から物性的評価を行うことが出来るものと確信できた。
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