研究概要 |
本年度は、ニッケル単結晶を反応基板に用いて以下の結果を得た。 1.界面における電荷移動反応に関して 電気インピーダンス測定の解析から (1)50mHz〜100kHzでのナイキスト表示において,インダクティブループは,存在しない。従って反応は、多段階であり,反応速度係数間に大小関係が成立する。 (2)Ni^<2+>イオンの結晶化は2段階反応で進行すると推定され,Ni^<2+>+e^-→Ni^+_<ads>が反応全体を律速する。 (3)電荷移動インピーダンスと角振動数の関係から指数α及びβの値が0.5に近い値をとることにより,スルファミン酸ニッケルにおける電荷移動反応は均一であると考えられる。 以上の結果は、界面での電子の交換は、電極面上ではなく、電解液内のヘルムホルツ外面で行われ、2段階反応であることを明らかにした。これらの研究成果は、日本機械学会誌A編70巻690号246-249(2004)に掲載された。 2.界面反応の基礎的物性に関して 界面反応の基礎物性として重要な電気二重層の電気容量、反応速度定数と拡散係数、電流交換密度を求めるためのマルチステップ法を提案し、解析方法を開発した。 (1)電気二重層は、ニッケルサルファメイト濃度0.93及び1.86M/lに対して夫々63.2±7.0、37.6±2.0μFである。 (2)電流交換密度は、ニッケルサルファメイト濃度0.93及び1.86M/lに対して夫々2.0±0.05 and 1.1±0.2mA/cm^2である。 (3)反応速度と反応速度定数の比:k/√<D>は、電流密度と比例関係にある。 これらの研究成果は、J.Phys.Chem.B, Vol.107,9404-9408(2003)に掲載された。 以上まとめると、本年度は、msecからsecに至る時間領域における界面での電荷移動反応に関してその基礎物性定数、反応形式、電荷移動の形式を明らかにした。
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