研究課題/領域番号 |
15560025
|
研究機関 | 独立行政法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
廣瀬 和之 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部・宇宙探査工学研究系, 助教授 (00280553)
|
研究分担者 |
服部 健雄 武蔵工業大学, 工学部, 名誉教授 (10061516)
|
キーワード | LSI / MOSFET / ゲート絶縁膜 / SiO_2 / 高誘電率 / HfO_2 / 欠陥 / 光電子分光 |
研究概要 |
0.9nmの熱酸化膜を形成した後、300℃でALD(TMA+Hfcl_4+H_2O)により3nmHfAIO_X膜[Hf/(Hf+Al)=30%]を形成した試料を、窒素/酸素雰囲気中1050℃で1秒ポストアニールした。基板はp型si(100)基板である。XPS時間依存測定に用いたXPS装置はVG ESACLAB 220i_XLで、X線源には単色化したAI Kα線(1486.6eV)を使用した。感度の高い磁場レンズモードを採用し、X線パワーを20Wと極めて小さくすることで、時間依存測定を可能とした。昨年度は、下地Si基板から放出されるSi2p光電子の束縛エネルギーを測定することで、下地Si基板表面の電位(界面電位)を求め、HfAIO_X薄膜中に捕獲されている電荷量を、トランジスター構造や電極を作製することによる影響を受けずに、明らかにした。具体的には、薄膜形成プロセス後〜2x10^<12>cm^<-2>の電子が既に捕獲されており、その後X線照射により正孔を注入すると〜2_X10^<12>cm^<-2>の正孔が捕獲されることが分かった。 本年度は、それに加えて、上地HfAIO_X膜表面に吸着した炭化水素中のC1s光電子の束縛エネルギーを測定することで、絶縁膜の表面電位を求めることができることに着目した。そして、前述のSi2p光電子の束縛エネルギーの測定と同時に本測定を行い、表面電位と界面電位を同時に求めることで、HfAIO_X膜中にかかる電圧の変化を明らかにした。さらに、シミュレーションを併用することでHfAIO_X膜中の捕獲中心の存在する位置を推定することができることを見い出した。 解析の結果、薄膜形成プロセス直後に存在する電子捕獲中心はHfAIO_X/SiO_2界面に存在するものと推定できた。トランジスターの信頼性を向上させるためには、この電子捕獲中心の密度を低減する薄膜形成プロセスの開発が強く望まれており、今後、下地膜、アニール条件、組成など最適プロセスを検討して行く予定である。
|