まず、戻り光ファイバレーザの基本構成光学系である光ファイバリング共振器において、その出力ダイナミクスが励起光の位相の2πを周期とする周期的特性を示すことを明らかにした。特にカオス的出力状態及び周期的出力状態を与える最低入力光パワーが位相項に含まれる共振器長や屈折率などのパラメータに対し周期的に変化する特性を見出した。さらにこの最低入力光の周期性がカオス同期特性に影響を与え、同期特性においてもやはり位相項に含まれるパラメータの差に対して2πを周期として周期的カオス同期を示すことを明らかにした。さらに、エルビウムドープファイバレーザにおいて、戻り光の大きさと励起光の変調率が出力光ダイナミクスに及ぼす影響を理論的・実験的に明らかにした。特に、戻り光の増加に伴い出力ダイナミクスの領域図が全体的に低励起光パワー側にシフトする現象を見出した。また、エルビウムドープファイバレーザを用いたマスター-スレーブ型及びスレーブ-スレーブ型同期システムにおける戻り光の大きさとシステムパラメータが同期特性に及ぼす影響を理論的に明らかにした。エルビウムドープファイバレーザにおいて戻り光があるとより低い励起光パワーでカオスが発生するので、より低い励起光パワーでカオス同期が実現できる。また、カオス発生励起光パワーが低いところの低い入力光パワーの方がより良いカオス同期特性を与えることを明らかにした。さらに二つのカオス同期システムにおいて、変調率の違いよりも戻り率の違いの方がカオス同期特性に大きな影響を与えることを明らかにした。
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