研究課題
高出力レーザーパルスを発生するには、様々な方式があるが、光パラメトリック増幅を用いた方式が最近になって盛んに検討されるようになってきた。この方式は、時間に依存する周波数を持つ信号光を光パラメトリック増幅した後に、パルスの圧縮を行うため、光パラメトリックチャープパルス増幅(Optical Parametric Chirped Pulse Amplification:OPCPA)と呼ばれている。この方式の特徴としては、増幅過程において複雑な操作を加える必要がなく、結晶を用いるだけで大きな装置を使わずに、高利得で増幅できることが挙げられる。しかし、OPCPA方式では、非線形光学効果を利用するため、小さなずれや変化が増幅結果に大きな影響を与えてしまうという欠点があって、OPCPA系における最適な設計がどうしても必要である。本研究では、このような要望に答えるように、実用的なOPCPA配置を提案すると同時に、OPCPA系における最適な設計に必要な理論モデル及び数値計算法を探った。本研究では、OPCPA過程における空間的特性を含んだ3次元の波動方程式を導き、その方程式の数値計算法を考案した。この3次元のモデルに、Walk-off効果、入射方向の影響、初期の周波数チャープ、パルス間の群速度等の要素を取り入れ、非平行型を含んだOPCPA方式を評価することに十分に対応できるようになった。また、伝播方向の空間位置に対する依存性を加えることによって、発散しているレーザービームにおけるOPCPAに関する理論計算モデルも考案した。このモデルを用いて、ビーム発散を含んだOPCPAの数値計算が可能となった。計算結果より、OPCPA過程における波長シフト現象とビームの空間ナロイング効果を始めて理論的に確認することができた。さらに、ビーム発散を用いた超広帯域におけるOPCPAの新しい方式を提案した。この考案では、励起光に発散を取り入れることによって、時間的にチャープしている信号光に対して、そのすべての周波数成分を位相整合させることが可能となり、10フェムト秒クラスの超広帯域OPCPAを実現できることを明らかにした。
すべて 2005 2004 2003
すべて 雑誌論文 (6件)
SPIE Photonics ASIA 2004, Conference 5636 No.5636-122(印刷中)
Jpn.J.Appl.Phys. Vol.43・No.4A
ページ: 1362-1365
Opt.Express Vol.12・No.5
ページ: 811-816
Jpn.J.Appl.Phys. Vol.43・No.2A
ページ: 585-589
Jpn.J.Appl.Phys. Vol.42・No.6A
ページ: 3415-3418
Opt.Express Vol.11・No.8
ページ: 939-943