研究課題
近年の集積回路の高密度化により、表面構造監視技術のさらなる進展が求められている。AFMやSEMのような従来技術は非破壊検査でなく時間もかかる。そこで、スキャッタロメトリと呼ばれる新しい光監視技術が注目されており本研究の主題である。分光エリプソメトリ法および磁気分光光学法を基礎としたスキャッタロメトリを周期的ナノ構造に応用した。周期的幾何学構造は、理想的な矩形溝でも、溝の周期、幅、深さの3つの未知パラメータがあり、リソグラフィで作製された断面が理想的でない場合は、より多くの未知パラメータで表される。分光エリプソメトリは、一つの複素数を広い波長範囲で計測するものである。複素関数を広い波長範囲で計測することにより、試料のモデルに含まれる多くの未知パラメータの値をユニークに決めることができる。因果律に起因するKramers-Kronigの関係式が実部と虚部のスペクトル変化を拘束するので、最適のモデルのみが実測の複素数スペクトルを正確に再現できるからである。溶融石英基板の表面に、電子ビームリソグラフィで作製した周期約250nm、深さ約500nm、種々の溝幅の周期的矩形溝、シリコン表面に作製した周期130nmの同様の周期的矩形溝を計測解析し、SEMから得られた数値に近い値が得られた。溶融石英基板にTaを堆積して堆積してリソグラフィ法により作製した周期的矩形ワイアーについては、各ワイアー壁面に円筒状の膨らみを仮定すると、実験結果がよく説明でき、SEM写真とのよい対応を示した。磁気分光光学法を磁性体の周期的ナノ構造の解析に応用した。磁性体のナノ構造は、磁気光学メモリや、磁気RAM(MRAM)などの製造工程を監視することを目的としているとともに、ナノ構造での磁性体材料特性の基礎的な振舞いを調べることも狙いとしている。一般にそのような構造は光学的異方性をもつことから、周期的異方性ナノ構造の理論も構築した。
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すべて 雑誌論文 (5件)
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