研究概要 |
本研究は,最近開発された高品質ストイキオメトリックLiNbO_3およびLiTaO_3の2次非線形光学定数を,波長分散まで含めて正確に測定することを目的としている。今年度はストイキオメトリックLiNbO_3について,基本波波長1.06および1.31μmで測定を行った。 試料はオキサイド社および日立金属でそれぞれ作製した無添加およびMgO添加ストイキオメトリックLiNbO_3を用いた。これらを厚さ100μm程度で約0.15°のテーパーのついた形状に加工研磨し,ビーム径数十μmの基本波を垂直に入射しながら試料をテーパー方向に数μmずつ動かすことにより,第2高調波パワーの試料厚さ依存性(メーカーフリンジ)を測定した。得られた測定データに対して多重反射効果を考慮した解析を行うことにより,非線形光学定数を求めた。基本波光源として波長1.06μmのQスイッチNd:YAGレーザおよび1.31μmのDFBレーザを用い,絶対測定もしくはコングルエントLiNbO_3を参照物質とした相対測定を行った。ストイキオメトリックLiNbO_3については,屈折率はこれまで限られた波長でしか測定されておらず,またその精度もそれ程高いとは言えない。したがって,非線形光学定数の測定に先立ち,それぞれの基本波波長におけるコヒーレンス長を測定し,間接的に屈折率を求めることによって文献値の屈折率データの補正を行った。 d_<33>とd_<31>のそれぞれについて測定を行った結果,1.06と1.31μmいずれの波長においても,ストイキオメトリックLiNbO_3の非線形光学定数はコングルエントLiNbO_3と誤差(±8%)の範囲内で等しくなった。来年度は屈折率を見積もる過程での誤差を小さくして測定精度を高めるとともに,LiTaO_3の測定も行う。また,短波長での測定も行い,第2高調波が吸収端に近くなる波長でのストイキオメトリックおよびコングルエントLiNbO_3,LiTaO_3の非線形光学定数について比較する予定である。
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