研究課題
基盤研究(C)
本研究は、最近、申請者らが発見した結晶構造が単斜晶である酸化イットリウム(Y_2O_3)をベースとする母体材料からなる極めて優れた薄膜EL素子用Y_2O_3系蛍光体を発光層に採用することによって、高価な封止処理なしでも大気中で安定に動作する高輝度で高発光効率のフルカラー発光薄膜EL素子を実現することを目的に以下の研究を実施した。1)イットリウム原料として、イットリウムアセチルアセトナート(Y(C_5H_7O_2)2)、発光中心として塩化マンガン(MnCl_2)を採用し、適量の発光中心とY(C_5H_7O_2)2を溶剤に溶かした後、水(H_2O)と塩酸(HCl)を添加したゲル溶液を、ディップコート法を用いて、BaTiO_3セラミック上に単斜晶Y_2O_3薄膜が優先的に成長させられるための成膜技術を確立できた。また、ゾル・ゲル法に加えて、マグネトロンスパッタ法による成膜技術についても確立できた。2)発光中心としてマンガン(Mn)を添加したY_2O_3:Mn蛍光体について、高輝度発光及び高発光効率が実現できる最適素子作製条件について検討した結果、熱処理温度約1000℃において高輝度発光を実現できることを明らかにできた。また、Mnを添加した(Y_2O_3-Ga_2O_3)や(Y_2PO_3-GeO_2)等の各種Y_2O_3ベース多元酸化物蛍光体薄膜について、高輝度発光を実現できる母体組成を明らかにした。3)各種Y_2O_3ベース多元系酸化物蛍光体薄膜EL素子の作製技術を確立し、高輝度発光及び高発光効率が実現できる最適素子作製条件を決定できた。また、前年度から継続して、室温の大気中で正弦波交流電圧で駆動して、発光輝度及び発光効率の経時変化を測定した。その結果、特別な封し処理を施さなくても、十分に実用に耐えうる輝度寿命を達成できた。以上のことから、本研究の目的は十分に達成できたといえる。
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