本研究では、コンクリートなどの状態や地雷などの地中埋設物を検査・発見するための非接触手法として、音響管の開口を被測定体に近づけて被測定体の表面付近の音響インピーダンス変化を検出する方法を提案し、以下の検討を行った。 (1)被測定の状態と表面音響インピーダンスの関係の検討 (2)表面状態、埋設状態を検出する理論の構築 (3)表面音響インピーダンス測定装置の実現 (1)については、地中表面付近に地雷に模擬した物体を埋設して音波を照射し、その上方の音場分布測定を行ったところ、埋設によって音圧の節位置に変化が現れることを見出した。このことから、音響特性によって埋設等の検査ができる可能性を示すことができた。 (2)については、音響管軸方向の2点の音圧の振幅と位相を測定して、被測定物の音響インピーダンスを求める定式化を行った。また、音響インテンシティに注目しても、被測定物の音響インピーダンス変化を調べることができることを示した。 (3)について、音響管軸方向にレーザ光を導入し、音響管中に音場に影響を与えない微粒子あるいは半透明フィルムを分布させることで、光のドップラ効果で音場分布を測定する新しい手法を考案した。これは、光源のコヒーレント長を調整することで、光軸方向に空間分解能を有するレーザドップラ振動計をはじめて開発したもので、他分野への応用も期待できる。 以上により、音響管によって被測定物の表面音響インピーダンスを測定する基礎技術が確立できた。
|