研究概要 |
平成16年度は以下の研究成果を得た. (1)前年度に引き続き非線形方程式の近接解に対して精度保証を行うための方法の研究を行った.近接解では,精度保証を行うときに前提となる解の分離が困難であるため,一般には反復法を適用することができなかった.本研究では,近接解を個別に求めようとせず多項式因子として求めることで精度保証を与える.この方法で必要とするパラメータ値を決定する方法を示した.また,国際会議において研究成果の発表を行った. (2)平成15年度に本補助金で招聘した海外研究協力者の一人であるPetkovic教授と共同研究を行い,Hansen-Patric型のパラメータを含む解法を解析関数の非線形方程式に適用する方法を提案した.この方法ではパラメータを変えることで多くの解法を導出することができる.Mathematica上でこの方法のソフトウエアを開発し,いくつかの問題への適用を行い,提案手法の有効性を確認した. (3)平成15年度に提案した,固有値問題を非線形方程式の解法に帰着させる方法において,大規模問題に対して高い並列性が得られることを示した.この解法の持つmaster-worker型の処理の特長を利用し,グリッドRPC上に解法を実装した.分子軌道計算で現れる大規模固有値問題に適用し,遠隔地のPCクラスタを利用する環境下で実験を行った. (4)3次元形状再構成問題に非線形方程式の解法が適用できることを示し,モデルデータを対象として数値実験を行い,その性質を検証した. (5)実用ソフトウエアプラットフォームのためのシステムexGUIdeの開発を行った.
|