研究課題
基盤研究(C)
アサガオとペチュニアの花について、蕾内の花弁の巻込みあるいは折畳み状況の観察、展開時の花の画像解析、花弁と花弁軸の引張り試験、花弁部のペーパーモデルや数値モデルの作成、モデルによる展開特性の力学的考察等を行った。得られた主な結果は以下のとおりである。1.アサガオとペチュニアの花のいずれにおいても、花弁は薄い花弁部を花弁軸が支持する複合構造を有し、引張り試験結果から、花弁軸部は花弁部に比べ約3倍の剛性があり、花弁を支持する役割を担っていることが確認された。2.アサガオの花弁モデルによる数値解析から、展開初期に大きなエネルギーを必要とし展開の進行にともなってエネルギーは小さくなっていくため、最開初期の展開速度は小さく次第に大きくなる展開様式を採用していると考えられること、展開時に花弁が開放される展開半径は、弁数が大きい方が小さく、それだけ展開に要するエネルギーも小さくなると考えられるが、花弁数が大きくなると花弁内の花弁の巻込み厚さが大きくなり、紡錘型の蕾の中に収納できなる可能性があることが明らかとなった。3.アサガオの花の展開時の展開半径の変化は、最初非常に遅い速度で、中速く、最後は再び遅く展開する、植物の基本的な成長曲線であるlogistic曲線に沿って変化する。4.ペチュニアの花は、16〜19時間はゆっくり展開(展開率約15%まで)し、その後それまでの6〜8倍の速さで3〜4時間展開(展開率40%まで)する。ここで、12〜14時間の停滞時間があり、その後、比較的速い速度で展開し、最後は遅い速度で展開する。この、停滞時間前の2段階展開は、花弁軸に蓄積されたひずみエネルギーの解放により力学的に説明できることが、花弁のペーパーモデルを用いた考察から明らかとなった。
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