希土類高温超電導バルク単結晶から小型試験片を切り出し、機械的特性を明らかにした。 接合バルクの引張り強度:大型化を目指したY系バルクの{110}面をErあるいは銀添加Y123焼結体で接合したバルクの引張り強度は、いずれの場合も27MPaであり、被接合体の強度46MPaと比べると低い。前者の場合は接合部中央に、また、後者の場合は接合界面から被接合部に30μm入った領域にある凝固液相領域が破壊の起点になっており、捕捉磁場の減少領域とも対応するこの領域の制御が特性向上につながることを明らかにした。 破壊靭性:SEVNB試験片を用いたSm系バルクの3点曲げおよび引張り破壊靭性値は1.0〜1.3MPam^<1/2>程度であり、c軸方向深さの切り欠きを持つ方が、これに垂直なものに比べてやや高い。RTから77Kまでの温度低下により破壊靭性はわずかに上昇するがその差は大きくない。 3点曲げ強度および疲労強度:Y系バルクの77Kにおける3点曲げ強度は90MPaであり、室温のそれより高く、またヤング率も低温の方が高い。これら曲げ強度およびヤング率はそれぞれバルク試料の上部および底部でわずかに高いことが判明した。77Kにおける繰り返し3点曲げ試験による応力比0.1の5×10^4回の片振り耐久限度は70MPa程度であり、曲げ強度の70%〜80%となった。 圧縮強度:応力-ひずみ曲線はc軸に垂直な負荷では線形、c軸方向負荷では非線形となり、縦弾性係数およびポアソン比は、潜在微小き裂の開閉口挙動により、異方性および荷重依存性を示す。c軸方向負荷の圧縮強度はc軸に垂直な場合に比べて大きく、77Kにおけるこの強度は466MPaに達する。圧縮強度は試験片の長さとともに増加するが、これに垂直な負荷の場合、太さの4倍を超えるとへき開面に沿う剥離と座屈により低下する。これらの弾性率および強度は引張によるものと比べて大きい。
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