研究課題
継続の最終年度に当たる本年度では、これまで本研究代表者らが構築してきた方法を実フィールドに適用して、方法の実用性のデモンストレーションを行った。まず、東北大学東八幡平実験フィールドに適用した。同フィールドに作成された地下流体循環システムは2本の坑井(EE4、F1)とそれに連結した人工き裂からなっている。計測は以下のように行った。近傍に新坑井EE5を掘削する。EE5で発生するドリリングノイズにより励起されるき裂内圧の変動を、EE4とき裂の交点に設置したハイドロフォンによりモニターする、というものである(アクティブ)。この圧力変動のピーク周波数と、円板状き裂モデルの軸対称モードの固有振動数が互いに等しいという条件からき裂特性を求めた。その結果、き裂の半径は約40mである。き裂の初期開口幅は、坑口基準の貯留層圧2MPaを境にしてステップ状に変化する。貯留層圧が2MPaより小さい場合は約0.3mm、大きい場合は約0.5mmという評価が得られた。このことは、このき裂が,地表基準で約2MPaで開口することを示している。引き続き、本方法をオーストラリアのHDRフィールド(クーパーベイスン)で観測された長周期地震に適用した(パッシブ)。この地震の震源深度は約4000mと推定されている。約100秒の長い継続時間を持つ長周期地震であることから、これは、内部を水で満たされたき裂に生じた定在波を根元とするものであると考えて合理的である。解析の結果半径が約160m、初期き裂開口幅が約17mmという評価結果が得られた。また、き裂面接触剛性は極めて小さく評価された。このことはき裂がほぼ完全に開いていることを示唆するものである。
すべて 2005 2004
すべて 雑誌論文 (3件)
Extended Abstracts,8th US National Congress on Computational Mechanics, Austin, US (to be presented)
Geothermal Resources Council Transaction 28
ページ: 223-226
日本地熱学会平成16年度学術講演会講演要旨集
ページ: A32