研究概要 |
メッシュレス境界要素法は,非均質材料や非線形問題にも適用できる新しい境界要素法である.メッシュレス境界要素法は,支配積分方程式中の物体力など非同次項に由来する領域積分項を,境界積分に変換する二重相反法(Dual Reciprocity Method : DRM)を,非均質材料の問題に適用する数値解析法である.右の図に示すように,境界と領域内に配置した選点で未知量を考える必要があるものの,領域を要素やセルに分割する必要がなく,これまでの我々の研究では高精度な解が得られることがわかっている.有限要素法に由来するメッシュレス法との対比からメッシュレス境界要素法と呼ばれつつあるが,領域積分の評価は全く必要としない利点がある. 平成15年度は,メッシュレス境界要素法に関して下記の成果を得た. ・材料の非均質性を仮想的なソース項と見なす定式化を行うことにより,ソース項を二重相反法で近似した領域メッシュレス型の境界積分方程式を導出することができる.ここでは,一般のソース項に対するソース分布同定の逆問題解析プログラムを作成し,逆解析の有効性を検証した.これにより,非均質な材料物性値の同定が同様の定式化により可能となる感触を得ることができた. ・二重相反法においては,領域内部を要素分割しない代わりに内部に選点をおいてソース項を近似する.内部選点が境界に近いときには,境界積分の数値積分による計算誤差が大きくなるという問題があった.そこで,新たに変数変換則を提案し,その改善を図ることができた. ・非均質物性値として,熱伝導率と温度依存性を有するヤング率について,二重相反法に基づく境界要素法の定式化と,熱伝導率の同定アルゴリズムとソフトウェア開発,および数値実験を行い,有効な結果を得た.
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