研究概要 |
本年度は高速デジタル画像相関法援用の計測システム開発を行うとともに,溶射材の破壊メカニズム解明のための予備実験として膜厚300μmの単軸溶射皮膜試験片を作製して,Zr02-8%Y203およびCoNiCrAlY溶射皮膜の単調圧縮応力-ひずみ応答ならびに繰返し圧縮応力-ひずみ応答を測定した.得られた結果を以下にまとめる. (1)3次元デジタル画像相関法援用微小変位計測システムに組み込む解析アルゴリズムとして,粗探索にはFFTを用いた同一点探索手法が,また3次元パラメーターの算出には部分的逐次非線形回帰手法を新たに構築し,これを用いることで安定した3次元変位計測が可能であることを確認した. (2)溶射皮膜の実験からは,溶射粉末粒径の小さな皮膜では欠陥が少なく緻密な組織となることを確認した.また熱処理することによって空孔率が増加することが分かった.減圧溶射した場合には大気溶射に比べて酸化物や欠陥が少なく緻密な組織であることを確認した. (3)Zr02-8%Y203皮膜では,圧縮応力-ひずみ応答が大きな非線形性を呈した.すなわち圧縮負荷を与えて除荷した際には同じ履歴をたどるわけではなく,より勾配の大きな曲線上をたどり永久ひずみが残留した.さらに繰返し圧縮負荷を与えることによってもコンプライアンスが低下することが分かった. (4)CoNiCrAlY(LPPS)皮膜では,応力-ひずみ応答の非線形性は小さかった.また繰返し圧縮にともなうコンプライアンスの変化はほとんど認められなかった.
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