研究概要 |
平成16年度は,横等方性耐熱構造材料層に圧電セラミックス層が接着された複合円板において,圧電セラミックス層に数個のリング形電極が同心円状に配置されたモデルを対象に,構造材料層に媒質加熱分布が作用した場合を想定し,次の熱変位と熱応力制御問題に関する研究を行った. 1.変位制御問題 平成15年度に行った定常熱変位制御問題に関する研究で得られた成果を基に,実用化を踏まえ,圧電セラミックスが1層の場合について非定常熱変位制御問題の研究を行った.その結果,構造材料層の非定常熱変位を要望された分布状態に制御するために各電極に印可すべき非定常ステップ電位を最適化によって決定する手法が確立された. また,構造材料層の熱変位を制御するために圧電セラミックスに印可する電位の低減を図るために,圧電セラミックスを多層化した場合について,最大ステップ印可電位が最小になるように各圧電セラミックス層の厚さを応力制約条件の下に決定する最適設計法が確立された. 2.応力制御問題 圧電セラミックスが1層の場合について,構造材料層に生じた最大引張,圧縮及びせん断熱応力をそれぞれ許容応力以下に抑制するために,各電極に印可すべきステップ電位を最適化によって決定する研究を行った.このとき,印可電位によって圧電セラミックス層の応力が許容応力より大きくなるのを防ぐために,応力制約条件を設けた.得られた数値結果より,ステップ印可電位を決定し,構造材料層の最大応力を抑制できることが示された.また,最大応力の抑制率は構造材料層と圧電セラミックス層の厚さの比に大きく依存するため,層の厚さを最適に決定する手法の確立が必要であることが分った。
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