研究概要 |
耐熱性構造材料層に圧電セラミックス層が接着された二層複合平板において,圧電セラミックス層の表面に数個の電極が同心円状に配置され,構造材料層の自由表面に正規分布状の軸対称熱負荷が作用した場合を想定し,圧電セラミックス層の各電極にそれぞれ異なるステップ電位を印加することによって構造材料層に生じた最大引張,圧縮及びせん断応力を抑制する研究を行った. 1.電極の設計 電極の数と寸法が最大応力の抑制率(応力抑制率)に及ぼす影響を調査したところ,電極が多くなるのにつれて応力抑制率は大きくなることと,中心の電極幅が応力抑制率に及ぼす影響が最も大きいことが分かり,最適な電極数と中心の電極幅を明らかにすることができた.これらの数値結果に基づき,応力抑制率を評価して,全ての電極の最適寸法を決定するための近似最適設計手法を開発した. 2.応力制約条件 圧電セラミックス層の許容応力として応力制約条件を設け,制約条件の設定値が応力抑制率に及ぼす影響を調査したところ,ある条件において,応力制約条件を設けない場合の応力抑制率は17.1%であったのに対し,応力制約条件が厳しくなるのにつれて応力抑制率は4.0%まで低下した.従って,応力制約条件は応力抑制率の目標値と圧電セラミックス層の安全率を基に決定する必要があることが分った. 3.三層複合平板 圧電セラミックスが2層の場合について,応力制約条件を設けて数値シミュレーションを実行し,圧電セラミックスが1層の場合の数値結果と比較したところ,最大印加電位は71.2%に低減され,応力抑制率は2.5%大きくなった.ただし,圧電セラミックス層の厚さによっては,圧電セラミックスが1層の方が応力抑制率は大きい場合があり,今後,多層複合平板の最適設計を行う必要があることが分った.
|