研究概要 |
機械的・電気的繰り返し負荷の下で生じる圧電セラミックスの内部損傷を連続体損傷力学に基づく損傷変数で表し,その発展式を定式化する目的から,まず,電気的繰り返し負荷のみを負荷し圧電セラミックスの材料特性変化を実験によって測定した.電界の周波数は2kHzに固定し,最大振幅を〜1.5MV/mまで,電界のオフセット値を0,±0.75MV/mに設定し,各種電界を負荷した.材料特性値の変化は,圧電セラミックスの共振周波数,反共振周波数,静電容量をインピーダンスアナライザーで測定することにより,電気機械結合係数,誘電率,縦弾性係数,圧電定数を評価した.実験より得られた主な知見として,(a)予き裂を入れても今回の電気的負荷の条件ではき裂進展,ならびに,最終的な破壊は起こらない.(b)バイポーラよりモノポーラの電界を負荷した方が材料特性変化は大きく,その変化は電界の振幅が大きいほど大きい.(c)圧電セラミックスの変位拘束をし,圧縮応力を負荷した場合が材料特性の変化は一番大きかった. また,圧電セラミックスの構成式と損傷発展式を用いた破壊解析として,二重片持ちはりモデルを用いた簡易き裂進展解析を行い,機械的・電気的繰り返し負荷の下でのき裂進展開始繰り返し数の解析を行った.その結果,(d)き裂進展開始繰り返し数の数値解析のための空間的離散化寸法依存性は離散化寸法を小さくすることによって飽和する傾向が見られた.(e)機械的負荷に電気的負荷を最大値が同じになるように同期させ重畳することによりき裂進展開始繰り返し数は減少する.(f)機械的負荷と電気的負荷の位相を180℃ずらすことによりき裂進展開始繰り返し数におよぼす電気的負荷の影響はほぼ無くなった.
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