研究概要 |
電気的繰り返し負荷による圧電セラミックスの材料特性変化を実験により測定した.材料特性値は,共振・反共振周波数,自由静電容量をインピーダンスアナライザーで測定し,それらから,電気機械結合係数,誘電率,弾性係数,圧電定数を評価した. 電界を周波数0.1〜2kHz,交流電界の振動範囲0.5〜1.5MV/m,平均電界-0.75〜+0.75MV/mの範囲で系統的に変化させ,チタン酸ジルコン酸鉛の試験片に印加した結果,材料特性変化の平均電界依存性,電界の振幅依存性,変位拘束による圧縮応力依存性,負の交流電界の周波数依存性を明らかにした. 共振周波数で電界の振幅を0.003〜0.021MV/mと変化させ,交流電流から角柱の試験片中央部に発生する最大瞬間応力を評価した結果,チタン酸鉛の試験片において,内部応力が最大のときに電気機械結合係数と圧電定数が著しく減少することがわかった. 圧電セラミックスの構成式と損傷発展式を二重片持ちはりモデルに適用し,連続体損傷力学に基づく局所的破壊解析法を用いて簡易き裂進展解析を行った結果,き裂進展開始挙動におよぼす空間的離散化寸法の影響,機械的負荷に重畳する電気的負荷の影響,機械的負荷と電気的負荷の位相差の影響を明らかにした. さらに,圧電セラミックスの構成式と損傷発展式を用いて積層圧電アクチュエーターを模擬したユニットセルの応力-電気-損傷場の連成解析を有限差分法で行った.その結果,損傷駆動力の電極長さ依存性,損傷の発達による応力,電場の分布の変化,電極に与える外部電界と破壊開始時間の関係,電極端近傍の破壊開始位置を明らかにした.
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