研究課題
基盤研究(C)
強誘電体固体材料が破壊する際に電磁波が放射されるという現象は、固体中のき裂生成問題に関する全く新しい計測パラメータとなりうると考えられる。この可能性を追求するために、本研究では、き裂生成に伴う電磁放射の発生モデルを構築し、そのモデルをAE(アコースティック・エミッション)計測と併せた破壊試験を実施することによって実験的に検証・改善し、AEすなわち微視割れの発生と電磁放射の関係を実際の応用のために明らかにした。すなわち、(1)電化よってき裂面上に分離した電荷の双極子モーメントと,き裂壁の振動に基づく解析から、電磁放射発生モデルを導出し、モデルを検証するために、(2)花崗岩についてAE計測を併せた破壊試験において電磁信号とAE信号との相関を試験し、(3)AEすなわち微視割れの発生と電磁放射に明らかな相関があることを見出した。さらに、(4)岩石の応力履歴の定量的な推定に、電磁信号の計測が極めて有効であろうとの知見を得た。そして、上述の実績の(4)に特に主眼をおいて、実際への応用として、岩石の応力履歴推定手法を検討した。稲田花崗岩と庵治花崗岩の繰返し荷重負荷試験における電磁放射とAE計測を行い、電磁放射は新たな微視き裂が生成される時だけに放射されることを確認し、これに基づく履歴最大応力の推定は、岩石試料に主き裂が形成される応力にほぼ等しい、破壊応力の80%までを正確に推定できることを明らかにした。これに対して従来から提案されているAEのカイザー効果による履歴の推定は破壊応力の僅か20%程度までであって、応力履歴の推定に電磁放射計測がいかに有効であるかの知見を得るとともに、AEと併せた計測が、試料中に生じる微視割れの位置とモードの推定に極めて重要であることも示した。
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Advanced Materials Research (Selected Papers : Proceedings of the 27th European Conference on Acoustic Emission Testing (in print)
Advanced Materials Research (Selected papers : Proceedings of the 27th European Conference on Acoustic Emission Testing, 2006). (in print)
Journal of Acoustic Emission 22
ページ: 91-101