研究概要 |
メカニカルアロイング(MA)法は過飽和固溶体合金,ナノ結晶合金,金属間化合物,非晶質合金等を,溶解することなく製造することができる.そこで,Mg合金(AZ31)切削チップの再利用を見据え,AZ31合金にはAlとZnが含有しているので,AZ31合金切削チップにAl粉末とZn粉末を加えてMAすることによるMg-Al系、Mg-Zn系合金の創製を試みた.今年度の研究では,Mg合金の切削チップに種々の量のAlおよびZn粉末を加えてMAすることにより,その合金化過程について調べた. 1)AZ31B合金切削チップに,種々の量の噴霧Al粉末を配合し,ミリングして得られた粉末の組織を調べた結果,12mol%Alでは,配合したAlがすべてMg中に固溶し,過飽和固溶体となる.30mol%Alを配合すると過飽和α-MgとMg_<17>Al_<12>の共晶組織となる.α-Mg相はいずれも数20〜30nmの超微細結晶となる. 2)AZ31B合金切削チップに,40mol%AlとなるようにAl粉末を配合した場合,MAによってMg_<17>Al_<12>の金属間化合物が、また、60〜61.5mol%AlではMg_2Al_3,MgAlの非平衡相が生成し,長時間のミリングでアモルファス相となる. 3)Mg-Al系のMA合金粉末の硬さは,生成相によって高くなり、出発粉末のAZ31B合金の2〜4倍に達する. 4)AZ31B合金切削チップに噴霧Zn粉末を種々の量を配合してミリングすると,Mg-Al系と同様に,過飽和固溶体,金属間化合物,アモルファス合金粉末が得られる。過飽和固溶体,金属間化合物の結晶は15〜20nmである. 5)Mg-Zn系のMA合金粉末の硬さは,出発粉末のAZ31B合金の2〜3倍に達する. 6)AZ31B合金切削チップに主要組成であるAlとZn粉末をモル比で4:3:3となるように配合してミリングすると,準結晶構造をもつMg_<32>(Al, Zn)_<49>相が生成する.
|