研究概要 |
これまでの研究で、マグネシウム合金の切削チップにアルミニウムおよび亜鉛粉末を加え,メカニカルアロイング(MA)することによって,その合金化過程を調べた結果,Mg-AlおよびMg-Zn二元系ではアモルファス相に近いナノ結晶の金属間化合物が生成し,高硬度のMg-Al系、Mg-Zn系合金粉末が得られた.また,Mg-Al-Zn三元系では準結晶構造をもつMg_<32>(Al,Zn)_<49>相が生成し,その生成組成域は燃焼合成法で生成する組成域より広いことも明らかにしてきた.そして,これらの合金粉末をマグネシウム合金表面に積層し,圧縮接合すると,拡散機構によって強固に接合し,高硬度の表面を有するマグネシウム合金に改質できることを見出した.そこで,本年度はMg-Al系金属間化合物のMA合金粉末で改質した表面の摩耗特性を調べた結果,40〜60mass%AlのMA合金粉末を用いれば,焼入れ鋼に対する摩擦係数が高く,摩耗量は表面改質していないマグネシウム合金と比較し,極めて少ない合金表面となった.したがってブレーキ材料のような制動特性に適する材料が得られた.また,この合金表面を8時間以上の塩水噴霧試験した結果,ほとんど腐食しないことを明らかにし,環境強度特性に優れたマグネシウム合金に改質する技術を確立した.さらに,このような表面改質法であれば,成形と同時にMA粉末を合金表面に接合できると考え,マグネシウム合金を型鍛造する際に,フランジ部や突起部などにMA粉末を圧縮接合して,型鍛造品の局部的な表面改質に成功した.
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