研究概要 |
円筒内面研削盤の機上で形状修正が可能なロータリドレッサとして算盤玉形メタルボンドダイヤモンドホイールを選定し,ドレッサ粒度の観点からホイール作業面の生成メカニズムを検討した.また,小径内面研削用クイルの作業面に対するドレッサ運動軌跡の転写性を評価するため,ドレッシングの計算機シミュレーションによってクイル作業面を生成しその周波数解析を行った.この周波数解析結果を実験結果と比較することにより,ドレッシングにおける砥粒脱落と切れ刃生成状態を定量的に議論することを試みた.得られた結果を以下に示す. 1)極低速で回転するロータリダイヤモンドドレッサを内面研削用小径CBNクイルに適用した場合,CBNクイル作業面の幅方向にドレッサと干渉しない部分(ドレスむら)が発生する.このドレスむらによってCBNクイル作業面には周期的な低周波数成分が発生する. 2)ドレスむらを避けるためには,ドレッサ円周に存在するダイヤモンド砥粒の配置間隔をできるだけ短くしなければならない.従来使用されているダイヤモンド砥粒埋め込み型のドレッサではこの間隔を適正範囲に設定することが容易ではないが,メタルボンドホイールの場合には可能である. 3)CBNクイル作業面にはこの他に,CBNクイル1回転あたりのドレッサ送り量に対応する周期成分が発生する. 4)上記に示した幾何学的原因による2つの周波数成分の他に,力学的作用によって,砥粒脱落サイズに対応する周波数成分と砥粒先端に生成される切れ刃サイズに対応する周波数成分が力学的効果によりクイル作業面に生成される. 5)ドレッシングの力学的作用はドレッサの粒度に左右され,ドレッサのダイヤモンド粒径が小さすぎると十分なCBNクイル研削性能が得られない.したがって,使用するCBNクイルの粒度によって適正な粒度のメタルボンドドレッサを選定することが必要である.
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