研究概要 |
抵抗加熱を利用した半溶融鍛造加工法の実現に向け,ビレットの均一加熱とビレットと電極の間でのアーク発生防止のための研究を行った.当初計画では,加熱効率の向上に有効なステンレス鋼SUS304の断熱層を銅電極の先端に接合させたクラッド電極を対象にすることを考えていたが,ここでは,実操業での利便性を考え,非接合複合化電極を対象にした.本加工法では,ビレットと電極の間の電気的接触を確保するため,通電時に電極への加圧が必要である.この加圧は,ビレットの均一加熱には小さいほど望ましいが,小さすぎるとアークが発生する. そこでまず,アーク発生,その発端となるスパーク発生の条件を,急速加熱を目的に改造した電源を用いて,加圧力と電流密度の関わりにおいて調査した.これにより,ビレットと電極(正確には断熱層)の間の公称接触圧力と公称実効電流密度のスパーク発生に対する影響が明らかになり,アーク発生の防止が可能になった. つぎに均一加熱実現策に関して,断熱層の厚さの加熱状態への影響を有限要素解析と実験により調査した.公称接触圧力9.8MPa,平均公称電流密度85A/mm^2での加熱実験では,断熱層厚さ2mmが加熱効率の点で最適と評価され,一方,有限要素解析では断熱層厚さ1mmが均一加熱に対して最適と評価されて,両者が一致しないこと,均一加熱実現のための最適断熱層厚さは,電流密度と接触圧力の両者に依存して決まることなどがわかった.これらの成果のうち,スパーク発生防止に関する知見は,第54回塑性加工連合講演会にて公表した.また均一加熱に関する知見は,平成16年春季塑性加工学会にて「抵抗加熱半溶融鍛造におよぼす通電時面圧の影響」と題する講演の中で公表する.
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