研究概要 |
前年度に引き続き,抵抗加熱時におけるスパークの発生条件を調べ,その防止に必要な通電時面圧(電極とビレットの電気的接触確保のために電極に加える圧力)に要求される条件を,電流密度との関係で明らかにした。また,通電時面圧と断熱層厚さのビレットの加熱状態に及ぼす影響を調べ,均一加熱実現のために要求される両者の条件について,電流密度との関係も含めて,これを明らかにした。得られた知見は,「抵抗加熱半溶融鍛造におよぼす通電時面圧の影響」と題した講演論文にまとめ,塑性加工学会に発表するとともに,前年度の成果を「アルミニウム合金半溶融鍛造への抵抗加熱の応用」と題した論文にまとめ,塑性加工学会誌に公表した。また,これまでの研究で得られたビレットの安定した均一加熱実現のための通電条件に関する知見を基に,歯車の半溶融鍛造実験を行い,その鍛造状態(鍛造組織)に及ぼす鍛造条件の影響を加熱条件の影響をも含めて調べ,これを明らかにした。結果として,開発目標とする「抵抗加熱を利用した半溶融鍛造加工法」の実用化に対する高い可能性が示唆されたが,均一な鍛造組織を得るという観点からは,最適な断熱層厚さについて,検討の余地も残された。本研究で得られた成果については,国際会議Metal Forming 2004において"Mushy state forging of aluminum alloy using resistance heating"と題して公表するとともに,本年度は研究計画の最終年度にあたるので研究の成果を1編の報告書にまとめた。
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