研究概要 |
昨年度の研究で構築したマシニングセンタの接地床・ベース・コラム・送り駆動系の総合的な力学モデルとCNCサーボモデルとをあわせたシンセシスモデルに基づき,力学的なフットネスを向上するための具体的な方策を考案し,検証した.また熱的モデルについてもシンセシスモデルの構築を行った. (1)力学的フィットネス向上のための方策の考案と検証 ・制御方式の違いにより,位置決め時の残留振動が改善されるかを調査・検証した.具体的にはCNCサーボループ内に種々のIIRフィルタを挿入し,それぞれの調整方法と効果について検証した.この結果,2次のIIRフィルタの調整により残留振動は抑制されるが,ロバスト性に問題があることがわかった. ・床への設置方式の違いにより,振動特性が改善されるかについて調査した.設置時に平行度を厳密に管理した方法を用いると位置決め時の振動特性,特にダンピングが改善されることを明らかにした. ・駆動方式の違いにより,どの程度の振動特性向上が図れるかを調査・検証した.重心駆動方式は,工作機械重量が大きくなるため,リニアモータをボールねじ送り系に付加したデュアル送り系により振動特性が改善されることをテストスタンドにて検証した. (2)熱的フィットネス向上に用いるモデルの調査 ・実機とテストスタンドを用いて,稼働条件を設定し,代表点温度と熱変位を測定した.この知見と支配方程式から温度と変位の関係を記述するシンセシスモデルを構築した.具体的には加工精度に大きな影響を与えるボールねじとスピンドル変位モデルを構築した.
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