研究概要 |
予測不可能な変化に対応するアジャイル生産において高い生産性能を実現するために,経験知と創発技術の融合による新しい動的スケジューリング技法を確立し,その技法をMES(生産実施)モデルへ適用することによってその性能を検証することを目的として研究を行った.以下に,本年度の研究実績の概要を述べる. 1.経験知の分析と新しい経験知の創出 生産の経験知としてのスケジューリングルールは,スケジューリングの例題を用いることでニューラルネットワークに学習させることが出来る.しかし,その結果学習された知識を理解することは困難であった.本年度は,学習後のニューラルネットワークを分析し,獲得されたルールを抽出する方法を検討した.その結果,多項式で表現される理解可能な優先規則を抽出することが出来た. 2.経験知と創発技術の融合技法の確立 GA(遺伝的アルゴリズム)のような進化型計算法による創発技術では,計算に多大の時間を要するため,動的環境下でリアルタイムな使用はできない.そこで,GAによるスケジュール探索にニューラルネットワークによって学習された経験知を組み込んだ高性能なスケジュール法を検討し,コンピュータシミュレーションによりその有効性を確認した. 3.MESモデルへの実装手順の検討 生産実施プロトタイプ(MESモデル)の基本形はこれまでの研究で完成している.本研究で開発されたスケジュール方策は,このMESモデルによって性能検証が行われる.本年度は,種々の問題クラスに対する性能検証のために,MESモデルの必要な規模および機能の拡充を検討した.また,方策変更に伴う通信情報,通信規約の変更の必要性についても検討し,これらの一部をJAVA言語とHORBによる分散オブジェクト技術を用いて実装した.
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