研究概要 |
超精密旋盤によって加工された直後の非球面(球面を含む)を,加工機から取り外すことなく,1nmオーダの精度で測定可能なシステムの開発を行うことを目的とし、以下の研究を行った。 1)シアリング干渉計の製作 加工機に搭載可能なシアリング干渉計の製作を行った。製作した干渉計では、加工ツールなどによって、測定面の一部のみしか観測できない場合に対応するため、ライン状CCDカメラで干渉縞を取得する方式を採用した。また、非球面のミラーの測定に対応するため、測定面を照明する光学系に同心円状の回折格子であるゾーンプレートを用いた。 2)解析ソフトウエアの開発 測定対象を回転させることによって複数のラインを取得し、複数のライン上での形状情報を複合して、全面の形状を再構成することが可能なソフトウエアの開発を行った。また、測定結果に曲線をあてはめるアルゴリズムの開発を行った。 3)システムの評価 試作した計測システムを用いて、ミラー中央にへそのある球面ミラーの測定実験を行った。提案する手法によって取得した中心を含む放射状の位置の形状データから解析を行った結果と従来法であるフィゾー干渉計での測定結果を比較したところ、その差は、PV値で1%程度であった。現在のシステムでは、取得した干渉縞画像の解析に必要な時間は4分程度であった。 4)新原理の提案 「曲率の異なる多数の球面波を用いた非球面計測法」に関する原理の提案を行った。基本原理は、非球面に曲率の異なる球面波を照射すると、部分的に曲率の一致する部分が生じるため、その部分では干渉縞の周波数が低下する。この位置を定量的に分析し、曲率毎の情報を総合することで、非球面形状を球面波によって計測することが可能となる。試作したシステムを利用した実験とシミュレーションによって、その有効性を確認した。ラテラルシアリングでは、形状が回転対称でなければ測定が困難であったが、本手法では、回転対称でない形状にも応用の可能性がある。
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