研究課題/領域番号 |
15560101
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研究機関 | 芝浦工業大学 |
研究代表者 |
柴田 順二 芝浦工業大学, 大学院・工学マネジメント研究科, 教授 (30052822)
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研究分担者 |
大田 正人 芝浦工業大学, 工学部, 助教授 (50052874)
植木 忠博 芝浦工業大学, 工学部, 講師 (50052890)
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キーワード | CNP / スラリー濃度 / 粒径 / 砥粒間隔 / パッド / Prestonの定理 / 作用点 / 研磨抵抗 |
研究概要 |
従来のCMPは酸化膜(SiO2)をその研磨の対象としてきた。しかし昨今注目されるデュアルダマシン方式では、メタル(Cuなど)CMPに期待がかけられている。このメタルCMPは歴史が浅く、これまで体系的なデータの蓄積がなされていないのが実情であり、いまだ現場の経験と試行錯誤に頼らざるを得ない状況である。したがって、メタルCMP特性の本質(メカニズム)の解明なしには、この技術の普及は望み得ないと考えた。本研究では昨年度は、この目的のために設計したCMP実験装置により体系的基礎データを集積し、メタルCMPの本質を探ることができた。残された課題は、CMPにおけるパッドの作用機構であり、本年度はこの解明を目指した。 研磨機構の原点は、パッドとワーク表面の接点にある。そして、この接点数とこの接点にどれだけ確実に作用砥粒粒子を供給できるかが、CMP研磨特性の支配因子になるはずである。この仮説を実証できれば、パッドの機能、スラリーの濃度、粒子径の因果関係が定量的に体系化できることになる。本年度の研究の目標は、実験によりこの仮説の妥当性を検討する事にあった。そこで本年度は、研磨作用点の数がCMP特性にどのように関わっているかを実験的に追究した。すなわち、実験パラメータはスラリー濃度、粒度、およびこの両者から決定される平均砥粒間隔、そしてパッドとワークの接触作用点数を左右する研磨圧力である。そこで得られた所見は以下のとおりである: (1)粒度あるいはスラリー濃度が一定の下での研磨量は、研磨圧力と完全な比例関係を示す。すなわち、Prestonの定理が成立することを確認できた。この直線の勾配は、粒径が大きいほど、またスラリー濃度の高いほど大きく、これらの特性から、Preston定理のメカニズムは、CMP研磨量はパッドとワークの接触点数に依存していると結論される。 (2)本研究で想定した仮説にしたがえば、同一の研磨圧力下では、スラリーの平均砥粒間隔と研磨量との間には比例関係が成立することが期待された。しかし、実験結果は、この両者の間には、下に凸の放物線状の特性曲線が成立することが実験データによって明らかにされた。このことはCMP研磨作用に、スラリーの平均砥粒間隔の他に、砥粒粒径が大きな作用因子であることを示唆している。恐らく、パッドとワークの間に存在する液膜厚さとスラリー粒径の関わりが重要であると結論される。 (3)CMPにおける研磨抵抗(トルクとして検出)と研磨量の間には、研磨圧力に関しては比例関係が成立するものの、濃度や粒径も関わると必ずしも明確な相関は見られないことが明らかにされた。
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