研究概要 |
本研究で提案した測定方式は,スピンドル回転軸に取り付けられた測定対象(実際は高精度ピンゲージ)の振れを透過光方式によって間接的に決定するものである.ラジアル方向とアンギュラ方向の振れ測定用には2組の直交2光束,アキシャル方向の振れ測定用にもう1光束を追加し,計5光束によって全方向の振れを測定する.アキシャル方向の振れは測定用ピンゲージ先端の振れとして測定し,ラジアル方向とアンギュラ方向の振れは距離をおいた2組の直行影響を用い,幾何光学および波動光学の両面からシミュレーション解析した.出力強度分布の異なる3種類の光源,SLD(スーパールミネッセントダイオード),LD(レーザダイオード)およびLEDを入手し,光束の一部を小径ピンゲージでさえぎったときの光遮断特性を計測した.その結果,SLDのさえぎり特性が特に優れていたので,これを光源として用いることに決定した.次に,光束の断面形状と光検出器の寸法が振れ測定に及ばす影響を透過光量の数値シミュレーションから検討を行い,光源の設置方向と検出器寸法を決定した.さらに,ドリルやエンドミルを測定対象に想定して,ピンゲージ先端形状が平面,球面および円錐面の3種類を用意し,スピンドル回転軸の傾きと半径方向振れによって生じる見かけ上の軸方向振れを数値シミュレーションにより求めた.その結果,スピンドル回転軸の傾きと半径方向振れの影響が最小となる先端形状を導出した. 以上の知見を踏まえて,スピンドル回転軸に装着した小径円筒の半径方向振れ,軸方向振れおよび角方向振れの同時検測システムを試作した.検測システムは測定部とデータ処理・解析部から成る.試作システムはほぼ完成したので,平成16年度はまず検測システムの精度検証を行い,その後各種の実機でフィールド実験を行って,成果を取りまとめる予定である.
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