研究概要 |
代替燃料の一つとして期待されているメタノールに対する研究は、4ストローク機関では改質ガス化して使用したり、燃料電池の燃料として使用する方向に向いている。しかし2ストローク機関にメタノールを用いるためには、軽量・高比出力という特性を生かすために余分な装置を付加することは得策ではなく、メタノールを直接燃料としてシリンダ内で燃焼させることが最も適切な方法である。今後メタノールが燃料電池の主燃料として普及するためには燃料供給のインフラ整備が行われることになり,メタノールを2ストローク機関の燃料として用いる方法は供給面からも現実性を帯びるようになる。 しかし、ここで2ストローク機関はその機構上、潤滑油は燃料と共に燃焼室に供給され、一部は燃焼して排気ガスと一緒に排出されるという特有の排気煙問題を抱えている。メタノールを燃料とした場合、潤滑油と相溶性が無いためにガソリンを燃料としたときとでは潤滑状態および排気煙に含まれる潤滑油の状況が変化すると考えられる。むしろ潤滑油がシリンダ壁面に保持され、従来のガソリンを燃料とした場合よりも潤滑油供給量を低減できる可能性が出てくる。 そこで、本年度は上述した問題点を検討するために,小型汎用2ストローク機関に燃料としてメタノールを用い,潤滑油の供給量と潤滑状態および排出ガス中に含まれる潤滑油との関係を調べる.メタノール機関における潤滑油の適正供給量については、今までのところほとんど報告されていないので、シリンダとピストン面を模擬した摺動実験装置を併用してメタノール存在中の潤滑油の摺動特性も調べた。これらの成果については、日本機械学会東北支部第39期総会講演会(機構論No.041-1,414)および同学会東北学生会第34回卒研発表講演会(2004年3月,講演番号501,505,506)にて発表した。 また、2ストロークエンジンは残留ガスの影響により不正燃焼が多発し、排気性能に大きな影響を及ぼすので、燃焼変動の基礎的特性を解明することを目的に、当量比変動に対するよどみ流予混合火炎の応答についても調査した。
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