研究概要 |
1.光学式非接触測定機と接触式の電気マイクロメータにより歯車の偏心パラメータの測定を行った. (1)非接触式測定機は,振れ測定を行うのに十分な繰り返し性を持っている.特に,偏心量の同定に影響を及ぼす振幅は,サブミクロンオーダで繰返し性があり,高精度で安定した測定を行うことができる. (2)歯車の半径方向偏心量を正確に同定できるようになった.しかし,偏心位相の同定が思った以上に困難であり,その傾向は偏心量が小さいときに特に顕著である. (3)歯先しか測定できない場合には,測定データに対して異常値の棄却を施すことが極めて有効である. 微小モジュール歯車の場合は端面振れを測定する部位が非常に狭いと考えられ,電気マイクロメータで測定が困難な場合も多い.非接触でも三角測量を用いたレーザ変位計のようなものでは,狭隘な部分に光が届かない場合があり,スポット径の問題も大きい.狭隘な部分でも接触式による測定が可能なスタイラスを開発することも一つの重要な課題である. 2.実測かみあい伝達誤差を用いて厳密解析式とのbest-fitにより,偏心量・偏心位相が同定できるようになった. (1)歯形修整の有無に関わらず,かみあい伝達誤差曲線と厳密解とのbest-fitが可能である. (2)実測したかみあい伝達誤差曲線から,best-fitにより偏心量・偏心位相を精度良く同定できた. (3)端面振れの大きい状態のかみあい伝達誤差測定結果を用いて同定した結果,同定結果を差し引いた残差曲線には,端面振れの影響であると思われる駆動歯車1回転当たり2山の成分を確認することができた. 微小モジュール歯車についても,かみあい伝達誤差曲線さえ測定すれば,偏心量・偏心位相を測定することなしに,偏心パラメータが自動的に抽出できることとなる.これにより,高精度に偏心量・偏心位相を同定でき,歯形誤差とあわせれば,微小モジュールのかみあい状態が通常サイズの歯車と全く同様にして解析可能となる. 3.歯科用印象材を用いて、微小モジュール歯車の歯面トポグラフィ非破壊計測が行えるようになった. (1)歯科用印象材と表面形状測定装置を用いることで,高さ方向が約2μmの精度で非破壊での歯面トポグラフィ計測が可能となった.また,トポグラフィ詳細測定結果とSEM画像より,シリコン系インジェクションタイプ歯科用印象材の十分な転写性が確認できた. (2)プラスチック製微小モジュール歯車の表面には30〜50μm間隔のうねりが存在していることが分かった.また,切削加工微小モジュール歯車の送りマークが測定により確認できた.
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