研究概要 |
本研究は,従来の歯車に比べ20〜100分の1以下の微小モジュールを有する歯車において,組立誤差である偏心が,かみあい伝達誤差に及ぼす影響を調べることを目的とし,以下の結論を得た. 1.光学式非接触測定機と接触式の電気マイクロメータにより歯車の偏心の測定を行った. (1)非接触式測定機は,振れ測定を行うのに十分な繰り返し性を持っていることが分かった.特に,偏心量の同定に影響を及ぼす振幅は,サブミクロンオーダで繰返し性があり,高精度で安定した測定が行える.これは可動部が少ないという測定機器の特長が生かされた結果である. (2)歯先しか測定できない場合には,測定データに異常値棄却を施すことが極めて有効である. 微小モジュール歯車の場合は端面振れを測定する部位が非常に狭いと考えられ,狭隘な部分でも接触式による測定が可能なスタイラスを開発することも一つの重要な課題である. 2.実測かみあい伝達誤差を用いて厳密解析式とのbest-fitにより,偏心量・偏心位相を同定した. (1)歯形修整の有無に関わらず,かみあい伝達誤差曲線と厳密解とのbest-fitが可能である. (2)実測したかみあい伝達誤差曲線から,best-fitにより偏心量・偏心位相を精度良く同定できる. (3)端面振れの大きい状態のかみあい伝達誤差測定結果を用いて同定した結果,同定結果を差し引いた残差曲線には,端面振れの影響であると思われる駆動歯車1回転当たり2山の成分を確認することができた. 3.歯科用印象材を用いて、微小モジュール歯車の歯面トポグラフィ非破壊計測を行った. (1)歯科用印象材と表面形状測定装置を用いることで,高さ方向が約2μmの精度で非破壊での歯面トポグラフィ計測が可能である. (2)プラスチック製微小モジュール歯車の表面には30〜50μm間隔のうねりが存在している. (3)切削加工微小モジュール歯車の送りマークが確認できた.
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