研究概要 |
現在のCADシステムでは,製品のライフサイクルに関わる設計,試作,評価,製作,保守,回収などのすべての作業を計算機で取り扱うために,パラメトリック設計機能を持った立体モデリングシステムが急速に実用化され,解析,生産システムと結びつけて大きな効果を上げつつある.しかし,CADシステムで作成された製品データベースについては,部品毎に一括して保存することが可能となった段階であり,どの製品にどういった設計意図が含まれているか,どの製品とどの製品にどういう共通形状や技術が盛り込まれているかといったデータの中身については,基本的にはブラックボックスの状態となっており,個々のCADシステムからデータを呼び出して設計者が解釈しなければ知ることができない.そこで,製品データベースの形状データをシンボルを用いて記述することにより,設計意図や属性情報とともに明示的に表現し,XMLで記述してデータベースに蓄えることにより,(1)製品データの形状と合わせてその特徴の表示,(2)類似形状/類似機能を持つ部位の検索,(3)設計意図・設計背景情報の表示,(4)必要部位の取り出しと再利用を可能とする新しいネットワークでの処理法を確立する. 本年度は,複数設計者がネットワーク環境下で共同して製品を設計することができる協調設計の機能を中心に,以下の研究を行った. 1.ネットワーク環境下でのサーバ/クライアントシステムの構築 JAVAを用いて,クライアント/サーバシステムを構築した.モデリング機能はMathematicaにより作成したシステムを利用し,ヒューマンインタフェースやネットワークでの計算機間のデータ授受は,JAVAにより実装した. 2.協調設計での排他制御 複数の設計者が一つの製品モデルを共有して設計するには,製品データの同時更新により整合性が取れなくなるのを防ぐ必要がある.そこで,設計者に負担を掛けず最小限の制約で設計対象の部分形状を一時的に使用できなくなるようにする排他制御機能を開発した.
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