研究概要 |
平成17年度から関西医科大学医学部付属病院総合リハビリテーションセンターの協力を得,同センターの入院ならびに通所中の上肢運動機能障害者に被験者になっていただくことになった.また同センターの医師・作業療法士・被験者から本リハビリシステムの使い勝手や機能についての意見を求めることができた.その結果,リハビリシステムとしては,(1)装置が大きく,高価すぎる,(2)障害者により本システムのようなレバーが握れるとは限らない,(3)装置が固定されているので使い勝手が悪い,(4)機械としてのイメージが強い,(5)CGはあまりインパクトが無い,など否定的な意見が多かった.反面,各指の加圧力が正確に測れる,正確なトルクや握り角度の測定ができる,反力の調整が自由に行える,など握力測定装置としてなら一定の評価ができる,との意見があった.この結果,現行システムの改良に加え,今年度から同リハビリセンターの医師や被験者の意見を参考にしながら,より医療現場に密着した,患者にやさしいソフトタッチの軽量握力リハビリ装置を開発することにした.新しいシステムは空気圧利用法式とし,市販されている2個の柔軟なボール(軟式テニスボール,ゴムボール,軟質プラスチックボールなど)と空気ポンプ,圧力計,A/Dコンバータ,ノートパソコンなどから構成されている.このシステムで被験者の障害を有する手と健常な手に握られた各ボールの空気圧をA/D変換し,パソコン上に表示された圧力波から最大圧力や加圧速度を計測した.これらのデータから圧力の状態変化がかなり綿密に検出されること,健常な手のボールで障害を有する手のボールを膨張・収縮させるリハビリシステムとしても使えることを確認した.
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