研究概要 |
試験歯車としてはガス浸炭を施したクロムモリブデン鋼(SCM415H)歯車を使用した.試験方法としては,試験は動力循環式歯車試験機を用いて,小歯車の回転数を6000rpm一定とし,荷重漸増方式で行った.試験油として,3種類の植物油(なたね油,大豆油およびコーン油)およびタービン油を使用し,各潤滑油とも試験開始時の動粘度は一定(η=25mm^2/s)になるよう,歯車箱内に設置したヒーターを自動温度調節器により加熱・制御した.試験開始時の油温は,タービン油:55±1℃,なたね油:47±1℃,コーン油:46±1℃,大豆油:44±1℃とした.主な実験結果を以下に示す. (1)大歯車の本体温度および飛散潤滑油温度は歯面荷重の増加に伴って徐々に上昇し,タービン油の場合が植物油に比べて高い. (2)潤滑油の耐スコーリング性能(スコーリング発生時の単位歯幅当たりの歯面荷重)は,なたね油>コーン油>大豆油>タービン油となり,なたね油の耐スコーリング性能はタービン油の約1.7倍である. (3)タービン油に対するθcrは約280℃となる.なたね油に対するθcrは約400℃となり,この場合のスコーリング臨界温度は植物油のうち,最も高い. (4)タービン油に対する音圧レベルおよび振動加速度αは植物油の場合に比して高い.スコーリング発生時にαは一時的に増加したため,歯車箱の振動加速度の計測により,スコーリング発生が感知できる.
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