スマート流体としての液晶を潤滑油として用いたジャーナル軸受について、詳細に特性を検討した。昨年度に得られた省電力性に関する知見について、ジャーナルと軸受をそれぞれ1つの電極とした場合では、偏心率が大きい(印加電圧が200V程度)のときに通常のジャーナル軸受に比べて約40%摩擦トルクが小さくなるが、印加電圧が300Vを超えて偏心率が小さくなるにつれ、摩擦トルク減少量は小さくなることがわかった。一方、電極を軸受面に分散配置して、潤滑領域の一部に電圧印加する方法にすると、印加電圧が増加して偏心率が減少するほど摩擦トルクも減少し、電圧印加位置をより上流にすることによって、通常の軸受に比べて約50%摩擦トルクを減少させることができる。また、分散電極方式を用いて、最大圧力位置近傍に電圧印加することによって、軸受に不安定振動を発生させることなく偏心率を減少させることを明らかにした。 実験結果を検証するために、数値計算も行なった。液晶の電圧-粘度特性を考慮してレイノルズ方程式を解き、ジャーナル軸受の軸心位置と摩擦トルクを計算した結果、定性的に説明することができた。また、電極配置についても数値解析を行ない、摩擦トルクを最小にする電極配置と効果的に軸心を制御するための電極配置についての設計指針を得た。 永久磁石を用いた磁気軸受部分については、アンショウの定理で記述される磁場を利用したスラスト軸受を試作した。試作した軸受で永久磁石の配置にっいて検討しているが、永久磁石のみでスラスト荷重を支持できる配置方法が明らかになりつつあるものの、最終的に呈示するに至っていない。
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