研究概要 |
【アスペクト比1以下におけるTaylor渦構造変化(カオス混合)の計測法の確立】 (1)・装置の試作 上下固定端のTaylor渦発生装置において,作動流体の高さ(H)と内・外円筒の隙間(ギャップ)(d)の比であるアスペクト比(Γ)を1以下にすると,波動Taylor渦に遷移する前の段階で,低Reynolds数でも様々な自励振動が生じる.Γ=0.6付近では,上下2つの渦がゆっくりとお互いに低周波振動する現象が捉えられた.その状態を保ったまま更にReynolds数を上昇させていくと,振動数はさらに低下し,左右2つの双子渦が一瞬定常状態で存在する領域が存在した.しかし,この状態からReynolds数を上げて行くと,双子渦の位置は変化しないものの,内円筒に接する渦が高周波で外円筒付近まで競り出す現象が見られた.この原因が装置特性に起因することも考えられたので,軸ぶれをより平滑化させた装置を試作し,再度測定を試みた.この結果,現象の再現性が確認され,また軸ぶれ等の固有振動数とは異なる振動数を保有していることから,新しいタイプの振動現象が捉えられたと認識している.この流れ場の速度に関しては超音波ドップラ流速計でも捉えられた.今後データを整理し,より高Reynolds数にした場合も含めて,そのカオス性について調べる予定である. (2)・単相流における渦構造の把握(レーザ流速計による計測) レーザ計測による単相流の固液混合相における渦の振動モード等を計測するにあたり,単相流における同様の計測も実施した. (3)・固液混合相内の流動状態の把握(超音波ドップラ流速計の調整と計測) 超音波ドップラ流速計(UDV)による測定は上記のように低濃度条件では可能になった.ただし,高濃度では依然ノイズ等が発生する場合が有り,必ずしも線計測が容易にできる段階には至らなかった.また微生物の場合,増殖の過程でフロック(塊)が一単体として発生し運動する場合も生じたため,必ずしもUVPでの測定結果のみで処理できないことが判明した.このため,超音波信号をパターンで捉えられるパルサーレシーバーによる測定も同時進行させることになった.粒子数が多く,混合パターンが様々に変化する場合に有効であると考える.
|