研究概要 |
本研究は,大気乱流の流入が水平軸風力タービンの翼およびロータ全体に及ぼす空力的変動荷重を推定する数値解析的手法の確立を目的としている.数値解析は,大気乱流のシミュレーション,タービンロータ翼の空力特性解析,構造系の振動解析から構成され,それぞれについて数値モデルを構築した. 大気乱流のシミュレーションには,Veers' Modelに基づくラングランジュ的数値モデルを用いた.入力データとして大気乱流のパワースペクトルとコヒーレンス関数を与え,これにランダムな位相を加えて逆フーリエ変換を行うことにより,ロータ面上における複数点での時系列3次元風速データを作成した.シミュレーション結果は,フィールド実験で得られた風速変動データと比較検討した. ロータ翼の空力特性解析には,非粘性解析手法の一つである加速度ポテンシャル法を用いる.この計算法はロータ後流渦構造のマクロ的な非定常性に伴う影響を容易に評価することが可能であり,翼近傍流れに関してはONERA法により非定常揚力を考慮している. 構造系の解析には,その第一歩としてヒンジスプリングを用いたロータ翼振動モデルを構築し,空力特性解析により得られる翼に働く流体力,重力,遠心力を外力として,翼振動を解析した.なお,振動と翼に働く非定常流体力との相互作用(空力弾性効果)は,ONERA法に基づく非定常揚力モデルにおいて,翼振動速度を相対流入風速の項に加えることにより,考慮した.また、マスト周りの流れ場をモデル化し,マストとロータ翼とのポテンシャル干渉についても取扱いを試みている. 以上の解析により得られた翼に働く空力荷重を基に,疲労荷重解析を例えばレインフロー法等を用いて行う予定である.
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