研究概要 |
本研究では構造が簡単で小型化に適し,連続的に液体輸送が可能である円柱を用いた粘性マイクロポンプモデルを製作し,ポンプ性能と内部流れを調べた.また実験条件に合わせた数値シミュレーションを行い以下の結論を得た.実験の作動流体にはグリセリンを用い,ポンプ上下流の圧力差は微差圧計により測定した.流量は下流タンクから流出したグリセリンの重量を電子天秤により測定し,重量法により算出した.一方,数値シミュレーションには汎用熱流体解析プログラムSTAR-CD((株)シーディー・アダプコ・ジャパン)を用いた. 本実験条件において,円柱上下流に1つずつ円柱とは逆回りの渦と,それらを取り囲む渦が発生する流れパターンとなる.流量係数が減少すると,円柱上下流の渦が拡大する.また,レイノルズ数が増加すると,円柱上下流の渦の中心は円柱回転方向へずれて非対称性が大きくなる.次に横軸に流量係数φ,縦軸に圧力係数ψをとったポンプ性能曲線は,レイノルズ数をパラメータとする右下がりの直線関係となることがわかった。また,横軸にφを,縦軸には次元解析によって得られたパラメータψReをとったポンプ性能プロット点は今回扱ったレイノルズ数範囲においては概ね同一直線上に分布していることが明らかとなった。したがって本マイクロポンプは無次元パラメータφとψReにより統一的に扱うことができ,これら2つの無次元パラメータは実用上有用である.またこのパラメータは他の粘性マイクロポンプへの適用も期待できる.
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