研究概要 |
本研究は,電気流体力学分野で重要な流れ場の解析を対象に,その流速ベクトル分布を定量化するために粒子画像流速測定法(Particle Image Velocimetry : PIV)の適用技術を応用して,気液2相流体の電気流体力学流場を計測すると同時に,その電気流体力学効果の現象論的解析方法を具体化することを研究の目的として実施した。本年度は,まず本現象の流れ場計測に適用するために分子の燐光を時間的かつ空間的に追跡するPIVシステムのプログラムコード構築を完了し,次に実際に気液2相流体の電気流体力学現象の定量的な計測を行うことができた。以下に本年度の研究実施内容と成果について記述する。 1.気相電気流体力学現象における粒子画像流速測定法の適用 本現象における気相電気流体力学流場(Ionic Wind)の流れの計測には,トレーサ粒子の帯電を防ぐことと、電気力の集中により極端に流速値が高く局所的に速度が数m/secになる領域にも適用できることが要求される。そこで、これらの要求に適う粒子画像流速測定法として、本研究では気相中分子の燐光を時間的かつ空間的に微小な時間で追跡するMolecular Tagging Velocimetryを構築して適用した。具体的には、燐光像の時間的な対応付けに、既に開発を完了している遺伝的アルゴリズムによるトレーサ粒子の時空間対応付け最適化処理法を適用した。 2.液相電気流体力学現象における粒子画像流速測定法の適用 本現象における液相電気流体力学流場の流れの計測には,誘電液体(作動流体)の電気的・機械的性質を変えることなくトレーサ粒子の帯電を防ぐこととが要求される。そこで、これらの要求に適う粒子画像流速測定法として、本研究では可視化用トレーサとしてβ-quinophtalaneを原料とする蛍光染料を用いて流速計測を具体化した。
|