研究概要 |
平成16年度は,出口径1.0mm,フォーカス部(ノズル出口部の直径一定部分)長さがノズル出口径の9.6倍あるいは0.9倍の長さを有する2種類の先細ノズルを用い,ステンレス鋼製試験片に対する穿孔実験を行った.鞘内径は3mmとし,鞘部長さは最長152.4mmである.研磨材としては,アルミナ研削材(#100)を用いた。また,噴射圧力は12MPa,キャビテーション係数は0.01から0.04の範囲で実験を行った.さらに,平成15年度に製作した開放型水槽を用い,鞘付きノズルを用いて形成されるキャビテーション噴流および同ノズルを用い通気した場合の噴流観察実験を開始した.噴流観察実験においては,フォーカス部長さとノズル直径の比が9.6の先細ノズルと厚みとノズル直径の比が4の円筒ノズルを用いた. 鞘付きノズルを用いて形成される水中アブレシブ・サスペンション・ジェット(以下,水中AWSJ)の穿孔特性実験および噴流の流動構造観察から,(1)キャビテーション係数が比較的小さい条件下で鞘付きノズルを水中で用いた場合,鞘内部の大半の領域は水蒸気で満たされた状態であり,鞘出口部には鞘内径いっぱいに広がる気泡雲状領域が観察される.また,気泡雲状領域長さを最短にする鞘部長さが存在する,(2)鞘付きノズルを用いることで,ノズル本体と被加工物間の距離を離しても穿孔能力が大幅に低下することを防ぐことができる,(3)鞘の寿命の観点からは,気相中で集束したAWSJを形成できるノズル形状が好適であるなどを明らかにした.さらに,噴流の流動構造観察からは,鞘内部に通気することでスタンドオフ距離増加に伴う穿孔能力の低下を防止できる可能性があることなどを示した.
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