研究概要 |
気流に平行に置かれた円柱では細長比が0から2付近まで大きくなるにつれて抵抗係数(C_D)が減少し、細長比2から3付近0値を越え、更に増すと抵抗係数は増加に転じるデータを記した文献と、ほぼ一定値を維持するという文献が見られる。円盤前縁から剥離した流れの円柱との干渉に注目した研究はあるが、全抗力を測定する際、尾部にスティングを取付ければ、後流とスティングの干渉を生じる。一方、円柱前部にスティングを取付けて後流を計測する場合は円柱前部の抗力への影響を判定することが困難である。ワイヤーでの支持も角度調整や乱流擾乱などの問題がある。磁力支持天秤装置は磁気の力で風洞模型を支持し、模型に加わる空気力を計測するもので、支持干渉が無く、円柱の後流と抵抗を同時に計測できる。そこで、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の60cm磁力支持天秤装置(60cmMSBS)を用いて、気流に平行に置かれた幾つかの細長比の円柱抵抗と後流を測定し、以下のことが判った。 レ直径を代表長にしたレイノルズ数で50,000〜100,000では円柱の抵抗係数にレイノルズ数依存性は無い。 レ細長比4.13以上では、円柱前縁で剥離した流れは、1.5D以上下流で再付着し、その下流の円柱表面で乱流境界層が発達し、後縁に達している レ細長比4.13以上での円柱抗力係数の細長比依存性は、細長比増大による円柱長さの増加に伴う円柱表面に発達した乱流境界層の摩擦抵抗増加が主な原因である。
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